~テールピースの高さ調整/テンションが下がる?張力は同じなのに?本当の理由は?/アルミ製は明るい音になるけど音量が低下~
テールピースの高さを変えている人の中には、誤った情報を信じている人がいるように思います。
テールピースって 高さ調節ができるけど、何のためにあるのかなぁ?
テールピースは音色にとっても関係してるんだ。
自分の音探しには重要なパーツなんだよ。
《要点シリーズ》第1章『エレキの上達はメンテナンス次第』⑦テールピースの高さと音色・弦高への影響
テールピースは「テンション」を緩くするためにあるという人がいます
誰が言い出したのか?正確でない情報が雑誌にも書かれています
上下させると 弦の長さが少し変わるので 計算上は 微小な張力(kg)値の変化はあるかもしれませんが 体感には至りません
それよりも 弾き手が感じるテンション感の違いは サドル上での弦の滑りがある場合に発生します
この事については、ギター&ベース修理工房のオーツーファクトリーさんが詳しく実証実験した記事が公表されていて大いに参考になります
テールピースの高さ調整の目的は、弦の振幅≒音色の変更です。
また、弦高の調整でもあるのです
以降、あまり知られてない事についてお話します
テールピースが低い場合
買ったばかりのレスポール等は、テールピースが一番低く締め付けてあります
この場合、弦はサドルまでの間で急角度で上昇し、サドルの上で折れ曲がりたくないため、上に競り上がります。
このため、弦高はサドルを超えてから、想像より高く膨らんでいて 弦自身による音程維持に頼ることになり チューニングの揺れが発生します
また テールピースが低いときは、力(振動方向)のベクトルはボディ側でなく、それより前向きです
ベクトルがボディ側に向いてないので、音の伝導率にロスがあるということになります
テールピースを上げた場合
一方、画像のようにテールピースを上げると、弦は緩やかにサドルを通過するので、弦高はそれほど競り上がりません
弦が安定するので、音程の維持にも貢献できますね
また、弦の力のベクトルも下向きに変わるので、ボディへの弦振動のロスが少なくなるのです
テールピースを上げている人は、「弦振動の伝達効率≒音色」という理由を知らない人が多く、「テンションが緩くなるから」という理由を言います
弦の長さが少し変わるので 計算上は 微小な張力(kg)値の変化はあるかもしれませんが 体感には至りません
正確には、サドル上で弦が滑る状況があって 初めてテンションが緩く感じるようになるのです。
サドル上の 僅かな弦の滑りは テンションが弱くなったような感覚を大きくもたらします。チョーキングの音程に多少影響しますが…w
弦振動の効率の面では テールピースを上げた方が良いと思いますが 上げ過ぎると 音程の要素となるサドルの支点効果が減少して スケールが延長したかのようになってしまいます
このようになると 弦の末端にあるボビンの撚りにダイレクトに負荷がかかって緩んでしまうので 目標の音程にしようとしても 多くの張力を加えることになり テンションを上げてしまいます
ちなみにラリーカールトンのES335は、テールピースが後の方に付いていて 弦の進入角は緩やかなハズです(テールピースは上げていませんね)
しかし サドルがスケール長をキープしていて さらに振動のベクトルも下に向いているため 独特な音色を生み出しているのだと思います
彼しか出せない音の要因の一つには、こういうことがあるため、エレキの上達には 正しい情報に基づくセッティングやメンテナンスが重要だということですね
ストップテールピースを上げて固定する方法としては、既製品でFixerからテールピースロックシステムが出ています。
決まり文句ですが、パーツを購入するときは、インチ規格とミリ規格を間違えないように注意してくださいね。
今回の話題は、関係ページの「誰も教えてくれない秘密のセッティング~」でも、DIYによる嵩上げの方法など詳しく取り上げています。
《補足》アルミテールピースについて
アルミテールピースを付けてみると、すぐに気付くのが、
①倍音がよくでる
②シャリシャリ感(カッティングでイイ感じ)
③音圧がなくなる。音が小さくなる。
④サスティンが途中で急に落ちる
これらは、全く私の感想です。
数か月試しましたが、私のSV800との相性は…。
~ということで、やっぱり元の亜鉛合金のテールピースに戻してしまいました。
戻してすぐ思ったのが「安定感」。
アルミはとても軽いのですが、弦振動に与える影響がとても大きいと感じています。
ただし、良いところもあって、凄く歪ませて弾く場合、音が重くなりがちになるので、リリカルな感じを与えるアルミは、メリハリの面でも良い効果がありますね。
時々、「ラリーカールトンも使っているらしいから」とか、
「アルミはオールドギブソンで使っていたのだから、イイに決まってる。」という風潮には、少々違和感を感じます。
カールトンは、プロだからスポンサーとの関係で、一時使ったかもしれないし、シグネチャーモデルもアルミテールピースという噂があるけれども、あの人がメインの335で出す音はアルミテールピースの音ではないですね…。
さて、今回は、とっても重要なことを記述しましたが、ギターやベースの部品交換をするときには必ずインチ規格とミリ規格の確認を忘れないようにしてください。
今の時代では自己責任が当たり前になっているので、間違えても交換してくれない場合があるみたいですよ~。
この辺で話は一旦終わりにします。
是非、参考にして自分だけのトーン・サウンドを見つけてください。
私のセミアコは国産品なので、ここに参考までに掲載した物はミリ規格です。
くどいようですが、パーツを購入するときは、インチ規格とミリ規格を間違えないように注意してくださいね。
【まとめ】
テールピースの高さを変えるとテンションが弱くなるという人がいますが、弦の張力は変わりません。
高さを変えると音色が大きく変わります。
それは何故なのかをベクトルに例えて、描画で説明しました。
また、弦楽器は弦の高さが適正でないと指の動きや音色に大きく影響するので、しっかりメンテナンスすることが必要です。
テールピースって音色だけでなく 弦高にも影響するんだね。
「テールピース伝説」にも惑わされないようにします!
《要点シリーズについて》
通勤・通学の移動時間に、ボリュームのある記事に遭遇すると「この話は、つまりどういうことなの?簡潔に教えてくれないかなぁ!」と思うことが多々あります。
このため、このページは出来るだけ短く、大事な要点だけをまとめてあります。
要点シリーズになっているので、前後ページへのシフトやメニューを使って、毎日1ページづつ読んでいけば、自分で行うメンテナンスはバッチリです!