~ナットの再利用/ギターの使用済ナットを5弦ベースにリユース/ベースのナットは小さいのでギター用を削って再利用できるかも~
今回の記事は ジュンヨシハラがワンマン公演の2日前のリハーサル中に メインベースを転倒させてしまった事から始まります
ペグの致命的な破損
リハーサルスタジオのジュンヨシハラから 私に画像が送られてきました
ペグの台座の蝶番部分が 両方とも折れています
致命的です…
同様のサイズのパーツを手に入れるのには時間がかかりますが 本番は2日後です
大ピンチです…
画像を見た私は AtelierZの中野のリペアルームなら交換品を常備しているハズなので 下北沢から中野に向かうようアドバイスしました
(この時 私はリハーサルは下北沢でやってると勘違いしていました )
今居る中野にAtelierZがある!
ペグは無事正規品に交換
後で聞いたのですが リハーサルは中野のスタジオでやっていたのだそうです
ジュンヨシハラは AtelierZにベースを持ち込み その場で原状復帰してもらって 本番に間に合いました
近くて良かったです
しかし 5弦側のナットも一部欠けています
彼は AtelierZのリペアスタッフと相談した結果
弦の溝は まだ残っているので ワンマン公演は 現状で乗り切ることにしたそうです
ナット交換作業
ナット材の準備
ジャンクナットの再利用
さて 本番は無事乗り越えることが出来ました
私は 公演実施中に 次期ナット材の調達作業に取り掛かります
通販のカタログで 同様のサイズの物を探している時に ふと思い出したのですが 先日 私のギターのナット交換をして廃材が残っているハズです…
ベースのナットは セミアコのナットより小さいので 削り出しは可能かもしれません
セミアコのナットを交換した記事を以前投稿しましたが この時の使用済み部品です↓
素材に問題はありません グラフテックのTUSQです
これを元に 土台の粗削りを始めました
これでダメなら 5弦ベース用ナットを調達すればよいのだ と考えました
サウンドハウス/5弦ベース用ナットナットのサイズ合わせ
このメインベースは 今日は使わないそうなので 預かって 早速作業に取り掛かります
今回は ジャンクナットを再利用したいのですが 溝の深さ次第では 材料の高さが足りないかもしれません
現行のナットを抜いてみます…
塗装はナットに被ってなかったので いつものように コンコンと叩いて 簡単に抜くことが出来ました
この深さなら 手持ちのジャンクナットの高さでカバー出来ますね VV
切削作業
あらかじめ削り出しておいた ジャンクナットを 溝に合わせて ひたすら ザクザク ゴシゴシ 削ります…
削り過ぎないように こまめに溝とのサイズ合わせを行いますが その前に必ずやっておくことがあります
溝のクリーニングです
これを怠ると 弦を張ってからの沈み込みが大きくなって 取り返しのつかないことになります
削り過ぎたナットは 元に戻せませんから…
さて ようやく差し込みまで作業が進みました…汗汗
ぎゅっとハマるので 最終工程で接着剤を使わなくても良さそうです VV
ナットの溝付け
ナット作業で 私が最も苦手な工程です…
今回は 元のナット溝に重ね合わせて 仮の掘り付けが出来たので 無事 位置決めがスムースに出来ました
元のナットに近い形状にまで加工したのがコレ↓
この画像を見ると 向こう側に向けて溝が上がってますね…
溝は傾斜を付けて掘らないと ビャ~ンとか鼻詰まりのような音だったり 弦の振動が乱れて サスティンが著しく悪くなるので 丸棒ヤスリの角度に気を付けて 掘り込んでください
弦高調整
取り付けてみると こんな感じです
もう少し調整が必要ですね(溝の掘り下げ ナット底面の切削など)
取付→チューニング(ナットが完全に沈んだ状態にする)→溝の掘り下げ・ナット底面の切削など↩
~を繰り返して ベストな状態(3フレを押さえた時に 1フレと弦が触れる寸前の高さ)に調整します
作業終了
ジュンヨシハラの作業部屋に戻しました パチパチ
ローフレットの弦高が 画像の後ろに映っている4弦ベースと同じになるように ナット調整しました
ユーザーには満足していただけると思います
納品した後 ユーザーの感想や要望を聞きながら 必要に応じて 通常メンテナンスの中で再調整することにします
まとめ
ナットの再利用
セミアコの使用済ナットを5弦ベースに再利用
ベースのナットは小さいので 削り出して再利用が可能かもしれません
使用済みのギターパーツは 捨てずにとっておくと 困った時に役に立ちます