~DIYでGRECO SV800の専用ギターハードケースを修理・改良/買替えならリユニオンブルースのセミハードケースが有名~
今回の記事は、前半でギターケース全般についてあれこれ考えてみたいと思います。
そして後半は、私が使っているハードケースのDIYによる修繕・改良について紹介します。
ギターやベースのケースは概ね、
ギグバッグ
セミハードケース
ハードケース
の3種類に分かれます。
厳密に言えば、それぞれの中間くらいの物もありますね。
どれを選択するかは、ミュージシャンが求める機動性や保護力などによって変わるわけだな。
ギグバッグについて
昔はソフトケースと混在した言い方をしていましたが、今ではソフトケースは、ギター・ベースの購入時に付いてくるビニールのペラペラのやつを指すようです。
ギグバッグはショルダー型なので、交通機関を利用するときに機動性を発揮しますね。
つまり、持ち運びに便利だということです。
ギグバッグはハードケースと違い、筐体ではありませんので、外部からの衝突に弱いと言われます。
しかし、生地の肉厚が1.2㎜以上あれば極端な追突でもない限り、ギター・ベースのボディーの塗装が割れることはないと思います。
この1.2㎜という値は、私の6弦テナーウクレレの高価なギグバッグの生地が1.2㎜厚もあり、かなり頑丈だからです。
よく電車とかで若者がストラトやベースであろうフェンダー系の形をしたギグバッグを背負っているところを見かけますが、私がとても気にしているのは、ネックの保護とフレットの保護をどうしているのだろうか?ということです。
ギグバッグは、外部からピンポイントの打撃を受けると仮定しても、生地の厚みでかなりの防御が、ボディーの場合は可能ですが、私が気にしているのは、仮にネックを反らすような方向に圧力が加わったときに構造上、無防備になることです。
ギグバッグ自体がグニャグニャ曲がってしまうからです。
極端な例えを言えば、ギグバッグに入れた状態であっても、倒してしまうとネックが折れる可能性があるし、ネックジョイントの部分に横向きの負荷がかかると、ボディー側の塗装がひび割れることがあるためです。
また、ベースの弦の場合は太いので、特に外部からの圧力を受けやすいのですが、弦がフレットや指板に「ハンコ付け」しないかということです。
「はんこ?」
事例として挙げれば、ベーシストのジュンヨシハラ(@zn_masason)のFGNベースは、長年ギグバッグで移動を繰り返していますので、気付かぬうちに何だかの打撃があったらしく、フレットと指板にラウンド弦の跡がくっきり刻まれています。
フレットの細い黒マジックは何か?こちらの記事をどうぞ。
予防には、フィンガーボードと弦の間にタオルなどを噛ませておくことをお勧めします。
ギグバッグは軽くて手頃なのでギター・ベースの持ち運びに便利ですが、それらを本当に守ってくれるかというと、脆弱な面があると思います。
セミハードケースについて
セミハードケースは、肉厚の生地のギグバッグのサイドにハードな枠を縫い込んだような構造です。
ギター・ベースの外形を型取った硬質ウレタン等がケースの形状を常に維持してくれるので、曲げの圧力に対しては、かなりの保護力がありますね。
このあとで紹介するハードケースでは、機動性があまりないので、ギグバッグとハードケースの中間のセミハードケースを選びたい人は多いと思います。
私も頻繁な持ち運びをするのであれば、これを選びますね。
特にリユニオンブルースのセミハードケースは、生地の厚みも内装の植毛の豊かさも凄いな~と思います。
サウンドハウス/ リユニオンブルース 一覧もちろん、お値段もそれなりになりますけどね…。
ギグバッグであってもセミハードケースであっても、私の危惧するところは、ネックの保全性なので、双方共通の必須項目としては、楽器を実際に入れてみて、ネックピローがしっかりネックをホールドしているかが選定の基準だと考えています。
今やっているか分かりませんが、リユニオンブルースのコマーシャル動画で、ケースにレスポールを入れて2階の窓からブン投げるというシーンがあったんです。
中身は何ともないんですよね。
マジシャンならできるのかなぁ…。
弦楽器は常に弦の強い張力にさらされているバランス楽器ですから、強烈な振動を与えるとヘッドやネックジョイントに異状が起きやすいわけですが、この動画を見て、よっぽど楽器へのホールド力が高いケースなんだな~と思ったのを記憶しています。
ちなみに、マーカスミラーのツアーのバックヤードの動画を見たことがあるのですが、彼のベースはセミハードケースに入ってました。
他の機材と共に搬送するならハードケースにすればよいのに。
と思いましたが、もしかして、彼は自分の手持ちにしているのかもしれない?
外国では楽器搬送をめぐっての盗難事件がよくありますからね。
ラリーカールトンも愛器の335を盗まれそうになり、左の首筋を銃撃されて、指が動かず、ギターが弾けなかった時期があったと聞きますし…。
ハードケースについて
ハードケースは、大きく分ければ、ギブソン系のギターの形を型取ったアーチドトップ型
のケースと、フェンダー系の直方体の箱型ケースに分かれます。
いずれも材質は薄い板に各種の生地を貼り付けてショックを緩衝するように出来ています。
簡単に言えば、筐体の箱なので楽器を保護する目的においては、これが一番です。
難点は、重たいので持ち運びが不便で機動性が悪いことです。
ハードケースの話まで来ましたので、私のセミアコ79年製GRECO SV800のハードケースのDIY修繕とついでに改良も施した事例を次に紹介します。
SV800専用ハードケースのDIY修理と改良
そもそもこのケースは、40年も経っているので、表面の黒ビニール生地が端はしで剥がれはじめていました。
また、サイドの縦板と底板も蓋の開け閉めの荷重で剥がれ始めていたわけです。
SV800は1979年に神田商会がGRECOブランドで富士弦楽器製造と提携販売したものです。
当時は、メイドインジャパンのオリジナルを世界に示していた頃で、有名なGOシリーズもその流れにあったわけです。
私も高校時代にGOシリーズのギターも使っていました。
ネックとボディーが一体型のアレンビックみたいな構造デザインのフラットトップ。
私のはブラックメタリックでした。
後輩に売っちゃったのですが、今あればメンテナンスを駆使して、当時音が気に入らなかったそれをイイ音に出来たかもしれないと悔いています。
話を元に戻します。
SV800は、エピフォンからも出ているギブソンのES339のような小ぶりのセミアコですが、ダブルカッタウェイの形状が少し違うので、サイズの合うハードケースは中々ありません。
SV800の専用ハードケースです。
このため、壊れても既製品での代替は困難なのです。
私のDIY魂は掻き立てられました。
修繕のしにくい縦枠板と底板の設置線には補強の端材を添えてタイトボンドで接着させてガッチリつけました。
ケース表面の黒い化粧ビニールシートは、一般的な接着剤ではくっつきませんので、エポキシを隙間に入り込むように盛り付けて、覆うように透明の梱包テープで被膜。
固まったころに被膜していたテープを剥がすと、綺麗にパックされたケースの外周を形成してくれました。
ここまでは予定していた工程だったのですが、先ほどの筐体接着の工程では、内張を剥がして行ったわけですが、剥がしついでにあることが気になってきました。
セミアコはセットネックのネック角がかなりあるので、ハードケースのネックピローにネックを載せてもボディーとケースの底面との間は隙間がかなり空くのです。
専用ケースなので、もちろんスポンジ材は入っているのですが、ボディーをホールドするまでには造り込んでいませんでした。
そこで、せっかく内張を剥がして露出しているスポンジに、幅広の滑り台のような形に加工したスポンジを補強。
めくられた内張りを丁寧に接着して完了。
そういう工程を追加して施しました。
もともとケースの蓋の裏にはブリッジからナットまでをホールドするピローが入っていますので、ギターをケースに入れて閉じるとネックもボディーもしっかりとケースがホールドしてくれるようになりました。
この結果、一般的には長い間ギターをケースに入れっぱなしにしておくと、ネックが順反り気味になって、チューニングがフラットするのですが、私の「SV800専用ケースby DIY」は、少々シャープするのです。
ボディーを後ろから押し気味にホールドしているからなのでしょう。
ネックの健康には良い矯正状態で保存されていると思います。
またまた「ちなみに」なのですが、ケースの底板の内張りを剥がした時には板が湿っていました。
弦楽器用の調湿剤が楽器店で売っていますが、その必要性がよくわかりました。
今もB型シリカゲルを納豆巻きぐらいの量でハードケースに入れています。
なお、A型シリカゲルは低湿度を吸着するのに適しています。
例えば、お煎餅の袋に入っているやつがそれです。
B型シリカゲルは高湿度で吸着し、低湿度になると放出するという繰り返しを行うので、一定の湿度を保ってくれるという優れものです。
楽器は乾燥しすぎるとひび割れの原因になりますので、B型シリカゲルがよろしいです。
100円ショップにも売っていますが、銀色の密閉された袋に入っているやつが良いですよ。
そういうわけで、私のギターはホローボディーで衝突に弱いため、専用ハードケースを使っていますが、リユニオンブルースのセミハードケースは、今でも興味津々です。
もし、持ち運びする機会が増えるのであれば、前向きに考えたいです。
合うサイズがないかもしれませんが…。
現在は専用ハードケースに、カッコいいショルダーハーネスを付けて背負っていますが、頭に上にケースヘッドがかなり出っ張るので、電車に乗る時は頭上注意です。
まとめ
ギター・ベースのケースは、それに求める用途に応じて選ぶこと。
例えば運ぶだけの目的なら、ギグバッグでOKだけれども、保護・保管用ならハードケース。
そのどちらでもなら、セミハードケースということになる。
セミハードケースはマルチな用途に使えるので、お薦めだが価格層はワンランク上。
価格を抜かせば、リユニオンブルース製のセミハードケースが評価が最も高い。
サウンドハウス/ リユニオンブルース 一覧