~DIYでヤマハMB40Cをピッコロベースに改良/課題はナットの造り直し、ミディアムスケールでもテンションが強い、音圧低下~

ピッコロベースって知らな~い!?

ベーシストのロン・カーターが、小さめのウッドベースで弾いたのが初めだと言われてるね。

ミディアムとかショートスケールのベースに、エレキギター弦を張れば良い事になってるけど、ギターより長いスケールに張るわけだからテンションがきつくなるんだ。
まだまだ定着はされていない領域だと思うな…。
ピッコロベースの改良のきっかけ
かなり以前の話なのですが、ベーシストのジュンヨシハラ(@zn_masason)から、「過去にメインに使用していたヤマハのMotion Bass MB40Cをピッコロベースに改良して、また活かしていきたい。」という話がありました。

彼は楽器を大事にするので、現在はTech役を担っている私としても、その考えに賛同したわけです。
使わなくなったヤマハMB40Cベースの経緯
そもそも、このヤマハのMB40Cは、ジュンヨシハラの姉が、年明け大売出しで活気づいている横浜の楽器店でお年玉で購入したものです。
当時、彼女は高校生で、その学校は生徒自らが企画運営する学園祭を伝統的に重要視していて、この学園祭のバンドでベースを弾くことになったのです。
ベースは大きい楽器ですが、彼女はそんなに体格があるわけではないので、ミディアムスケールで予算の範囲内で、ヤマハのMB40Cを選んだわけです。
そのベースは、のちにジュンヨシハラが中学生になったときに受け継がれていきます。
のちに高校に入ると同時に、現在も使っているFGNの4弦ベースを使い始めます。

それまでの中学3年間は姉から受け継がれたヤマハベースのMB40Cを大切に使っていました。
彼は中学生のころからスラップをやり始めます。
彼が自らの経歴をTwitter投稿していたので、少し触れますが、もともと彼はサースポー(スイッチプレイヤー)
野球では左投げ・左打ち、箸は左、ペンは左、筆は右(彼は書道の五段です)、ベースやギターは右、等々…。
右脳と左脳をフルに活かす天才肌のベーシスト。
先日、サースポーで右効き用のベースを使っている人から話を聞く機会があったのですが、「やっぱり、右手を細かく動かすプルとかロータリーとかやりにくいんだよね…。出音が弱くなってしまう。」と言っていました。
そういう意味で、ジュンヨシハラは中学生のころからスラップ奏法と戦い続けているんだと思いました。
その思い出のベースが今回ピッコロベースに生まれ変わったわけです。
スラップベース聴けよな!!! pic.twitter.com/vydP1JG4AJ
— アトリエ・アルマジロ 『Palette』12/13 (@zn_masason) December 22, 2020
改良は難しくはないが課題は3つ
4弦ピッコロベースは単純に言ってしまえばギター弦の3~6弦に張り替えるだけですから、そういう意味ではシンプルな改良です。
しかし、次のような意外と厄介な課題があります。
【課題1】ナットの造り直し
別の記事で取り上げましたが、ナットはバランス楽器であるギターやベースのメンテナンスで、とても重要なパーツなのですが、意外と気にしていない人が多いようですね。
今回、ピッコロベース化するにあたってのナット作成のポイントは次の4点でした。
① 溝の間隔: 弦の太さが変わるので溝間隔は付け直しです。
ノギスがないと作業は難しいと思います。
② 溝の深さ(≒弦高):3フレットを押弦した時に1フレットに弦が当たるか当たらないか位に下げる。
チェックする時は毎回弦をチューニングして順反り状態の弦高を再現して行うことを怠ってはいけません。これを怠ると必ず失敗します。
③ 溝切はヘッド側を低くすることを常に意識して、目標に近づいたら弦でしごいて調整する。
④ 溝切りができたら弦が半分出るようにナットのトップを削る
やり直しが効かないのがナット加工の難しさです。
そして出来たのがこの画像。

過去にセミアコのナットを作ったときに失敗したグラフテックのTUSQのジャンクを再利用しました。
サウンドハウス/GRAPHTECH ( グラフテック ) / PT-6060-00【課題2】弦のテンションが強くなる
ベースに比べてギターはスケールが短いので、ギター用の弦をベースのように長いスケールに張るとテンションがかなり強くなるはずです。
ヤマハのMB40Cはミディアムスケールなので、もしかしたら大丈夫かもしれない?
ということで、DIYで改良することにしたのですが…。
やっぱりキツめです。
現在付けているのは、エリクサーのプレーン弦0.017、ダダリオのラウンド弦0.030、0.042、0.052。
私のセミアコで使っている買い置き弦の一部から失敬しました。
サウンドハウス/ELIXIR エリクサー / Plain Steel Single Strings バラ弦 一覧【課題3】弦が細くなった分の音圧低下を自作プリアンプで補う
ピッコロベースは、ハイが出る分バンド内で埋もれるということはないのですが、ベース固有の音の腰がなくなります。
ベース用ピックアップでは弦が細くなると音圧が低下してしまうからです。
このため、このブログの別の記事で取り上げた自作プリアンプをピッコロベース用に改良してセットにすることにしました。
詳しくはその記事を参照した方が分かりやすいと思いますが、当初、ギター用に作ってあった試作品のプリアンプだったため、ベース仕様にするためには、ローカットコンデンサを 2.2uf にする必要がありました。

そこでやってみたのですが、ピッコロらしいリリカルな音が出て来ない。
ピッコロベースは、0.045~0.105インチとかのベース弦ではないのでベース用セッティングでは、やっぱりだめですよね。
そこで再検討。
弦はギター弦なのだから、今付いているシングルピックアップ(ベース用なので帯域は異なると思いますが…。)にあわせて 0.047uf を付けてみようと考えて、早速試してみました。

これが正解でした
音の張りが戻りました。
要するにベース仕様とは言ってもピッコロ専用、あるいは、ほぼギター用のセッティングに近い仕様になったというわけです。
これらの各【課題】で未だ解決していないのは「テンション」です。
解決したら、この記事をリライトしますね。
そもそも私はピッコロベースのことをよく分かっていないと思う。
私が初めてピッコロベースを聴いたのは、スタンリークラークの演奏でした。
すご~く昔です。
最初はびっくりしましたよ!
ベースを弾いているのにベースの音が聴こえてこないから。
雑誌のインタビューで彼は、
「エレクトリックの世界ではピアノやギターが目立つ曲ばかりが作られている。もっとベースの音の良さや奥の深さを知ってもらうためにチャレンジしていく。」
という趣旨のことを言っていたように記憶しています。
リターン・トウ・フォーエバー時代の様々な試みには、こういう精神があったのだろうと感じますね…。
あのマーカスミラーは、もともとサックス奏者だったけど、「ベース奏者になったのはスタンリークラークの影響が大きい。」と彼自身が言っていますね。
スタンリークラークはロンカーターに影響されたと言っていて、ロンカーターは70年代から小さなウッドベースでピッコロベースを弾いていたということを私は最近まで知りませんでした。
ピッコロベースの求めるべき「良い音」とはどんな音色なんでしょうか?
私がピッコロベースを最近聴いたのは、ネットベーシストで有名な「ぴんはげ」さんのTwitter投稿動画です。
彼は超絶技法を持ったスラッププレイヤーであると同時に、コードトーンを基本としたベースフレーズを弾くので、彼の弾くピッコロベースの音色は、メロディーメーカーとしての頭角もとうとう現してきたなぁと印象付けたひとコマだったと思います。
現在のところ、心に染みる良い音・美しい音のピッコロベースは、スタンリークラークの時より、ぴんはげさんの時の印象の方が深いですね。
まとめ
ミディアムスケールのベースをピッコロベースに改良してみた。
改良は難しくはないが課題は3つ。
・ナットの造り直し
・弦のテンションが強くなる
・弦が細くなった分?のパワー不足を感じる(自作プリアンプで補う工夫)
未だ解決していないのは「テンション」。
ピッコロベースの「良い音」について、スタンリークラークのピッコロを初めて聞いた時よりコードトーンを基本とした美しいハーモニーを奏でる「ぴんはげ」さんの方が印象深かった。

冒頭にありましたけど、ピッコロベースって、未だあるべき形が確立していないので、セッティングが難しいなぁ~。

そうね。
記事にも書いたけど、ピッコロベースの理想の音ってどれなのかが決まれば、オリジナルの作りようはあるんだけどね…。
成長段階って受け止めれば面白そうジャン!