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ギターメンテナンス

ギターノイズ対策/効果絶大で元にも戻せる方法

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~ギターのノイズ対策はPUのシールドが効果大で元にも戻せる/銅板にスリットを入れエディカレント(渦電流損失)の抑制も出来る~

エレキギターのノイズ対策は アルミ箔や導電塗料(ドータイト)をキャビティーに塗る方法など 様々なやり方があります

しかし 宣伝効果などで主流になっている導電塗料は 特に金属粉を含有してる物は コンデンサー化が発生し 音がハイ落ちするという指摘もあるようです

一旦塗布すると元に戻せなくなるので ノイズの原因や症状に合った方法を選ぶことが重要だと思います

作業開始

ノイズ経路の確認と施工

コントロールカバー

まずは ギター裏のコントロールキャビティーのカバーから…

カバーを付けた状態で 手をかざすとノイズが増えます…? なんで?

既設の銀箔にテスターをあてたら なんと導通せず アースにも結線してませんでした!(怒)

既設のアルミ箔?導通NG
既設の銀箔は導通してませんでした

銀色の折り紙が貼ってあったので 重曹と中性洗剤でゴシゴシしたら ボロボロ剥がれました

導通しない銀色の折り紙を剥がす
導通しない銀色の折り紙を剥がした

アルミホイルに貼り直し

過去に 家の秘密基地に吸音材を施工した時に使った両面テープ 日東電工No.501L が薄くて樹脂に良く着くので コレをカバーに貼って アルミホイルに一気にペタッ

カバーにアルミ貼付け
カバーにアルミ貼付け
綺麗に貼れました
綺麗に貼れました

アース接点の作成

このギターは シンラインなので キャビティーが奥行きのあるホール構造になっています

カバー取付口周囲に導電塗料で接点を設けるのは困難なので 家にあった金具を流用して カバーの取付ネジで噛ませることにしました

家にあった金具を流用
家にあった金具を流用
アース出し
アース出し
近くのジャックに結線
近くのジャックに結線
導通OKです
導通OKです

これで カバーに手をかざしてもノイズが発生する事は無くなりました

ピックアップをシールド可能か?

さて ここからが試行の繰り返しです

ギターノイズは ピックアップがアンテナとなって増幅してしまうので この根本的な課題を克服したいです

特に P-90は上部の表面積が大きいので アンテナが大きいということになりますね…

指で触るとノイズが増大します

指で触るとノイズ増
指で触るとノイズ増

私のギターは4wayセレクターで PUのシリーズ(直列)回線を選べるようにしてます

シリーズにするためには フロントPUからHOTとCOLDとシールドアースの3本出しになっている必要があります

その前に誤配線がノイズの原因になっていないか?

ノイズの原因を調べるにあたって この3本が正しく接続しているかを確認する必要があります

購入した時 セレクターへの結線が無茶苦茶でしたから…(笑)

3本出しのチェック
3本出しのチェック

一般的に シールドアースとCOLDは同時にプレートにアースされますが 画像にように(分かりにくいですが…)シールド線の網アースのみがハンダされてました…OKです

次に セレクターには黒いクロスケーブルがCOLDとして結線されているのですが PUからはクロスケーブルは出ていません…どうなってるのでしょうか?

PUのCOLDと黒クロスケーブルの結線
PUのCOLDと黒クロスケーブルの結線

配線の途中の絶縁チューブを動かすと 中でPUから出た黒COLDが黒クロスケーブルに変換されていました…これもOKです

~ということで 配線に問題はありませんでした

PUにアルミ箔で小細工してみる

PUをアルミ箔でシールド
PUをアルミ箔でシールドしてみたら

PUをアルミ箔で包んで プレート板にアルミが接点するようにしてみました(アルミはハンダが使えないので…)

シールド効果は十分です

しかし PUカバー内で10μm(マイクロメートル)の極薄の箔が共振して アルミホイルをかざした時のキロキロ音がします(笑)

あとで原状復帰ができる仕様にしたいので 両面テープなどの接着は避けたいです…結果NGとしました

銅板の採用

次に ハンダ溶接が可能な 0.1㎜の銅板 でシールドしてみます

ちなみに 画像に一緒に映っているEPDM素材の隙間テープは 銅板と同時に購入しました

高密度のスポンジで出来ていて 適度の柔らかさが ボディー直付けPUの嵩上げに最適なので 私が以前からお気に入りの材料です

銅板とEPDM
銅板とEPDM
型紙から作成

0.1㎜の銅板は柔らかくて加工は容易なのですが しわくちゃを避けたいので 型紙を作って寸法だししてから銅板をカットしました

型紙をとる
型紙をとる
音に対する事前考察

PUの銅板シールドは フェンダー系のシングルボビンの横巻きが知られていますが 前述したように P-90は 上部の大きな面積がアンテナになっていますので 上部に被るようにシールドしました

音に対するデメリットがあったとしても 市販の金属製PUカバーを付けた程度にとどまると考えています

渦電流損失(エディカレント)について調べてみた

シングルPUでは 3KHz付近で倍音成分(ブースト)が発生するが 弦と磁石の間に金属膜を被してグランドすると 磁場に影響し 膜の内部に渦電流(エディカレントeddy current)が発生する

これはグランドアースに流れるため 400Hzから徐々に電流損失し 1KHz~3KHzで差が拡がる

3KHzのブースト領域でピーク

しかし ポールピースを露出させて 磁力線を出来るだけ確保すれば この影響を少なくできるのでは…

~ということで 渦電流(エディカレント)による損失を出来るだけ避けるため 横通しの解放穴にしました

また 磁石周りの金属板に スリットを入れるとエディカレント(渦電流損失)を抑制できるらしいのです

銅板加工

金属加工は側面の折り曲げで 四隅で重なりが出て 山になるので 1㎜程度の隙間をカットで確保して曲げるのがコツだと思います

型紙から銅板へ
型紙から銅板へ

ノイズの症状から フロントだけでも良かったのですが この際 リアも施しました

2つともシールド
2つともシールド

ちなみに 画像に映ってるサドルは 同時に交換したスチール製ブロックサドルです

サウンドハウス:GOTOH / S21 Chrome

渦電流損失を抑制するスリットを入れる

エディカレント(渦電流損失)は 磁石の周りの金属板に発生するので 今回ような銅板にスリットを入れると損失を抑えることが出来るという実験記事を読みました

エディカレント抑制のスリット
エディカレント抑制のスリット

スリットを入れない場合と 渦電流損失が30%程度違うというデータがネットに出ていますが 私はピッキング時の倍音の違いで 何となく分かりました…

銅板とプレートをハンダ結線

銅板は ハンダが良く馴染むので 作業は容易です

銅板側の結線
銅板側の結線

PUプレートは ロウ漬けの蝋が付いているので ハンダ付けの前に ヤスリがけします

プレートのヤスリがけ
プレートをヤスリがけしておく
プレートにハンダ
ハンダが良く載ります
プレートの切り欠けから配線
プレートの切り欠けから配線

作業終了とレビュー

弦を張って終了です

結果が悪くても 銅板は取り外しが可能です

PU組込み終了

試奏したところ ノイズは全くと言って良いほど無くなりました

PU直接のノイズ対策で 懸念していた音の曇り(コンデンサ化 ハイ落ち)については 数値的なエビデンスはありませんが 最小限のエディカレントにとどまったと考えています

なぜなら

①シールドにスリットを入れ 渦電流損失を抑制

②PUマウントの際にリアPUの1弦側と6弦側の高さを均一に取付けて ポールピースのこれまでの高さを全て半巻き上げ

③今回作業と同時に サドルを鉛合金からスチール製に交換

これらを合わせて行った結果 逆にハイの成分がくっきりして サスティンも格段に良くなる結果となったからです

まとめ

ノイズ対策で主流となっている導電塗料は元に戻せないので その他の方法を検討

ノイズ増幅の直接原因となるPUに銅板シールドを施してみた

結果 ノイズは全くと言って良いほど無くなった

今回の数値的なエビデンスは無いが P-90の場合はポールピースを開放して シールドにスリットを入れると 倍音が出やすくなったので エディカレントの影響は最小限に抑えられたと考えられる

後で元に戻せる仕様を基本方針としたため 興味のある方は自己責任で試してみてもよろしいかと思います…

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