~DIYでシールドケーブル作成/ノイズレスと原音忠実性に優れたモガミケーブルとノイトリックコネクタ(XLR)がお気に入り ~
モガミのシールドケーブルの2534や2549は、原音の伝導性能が極めて高いです。
ケーブルで音が違うのは分かるような気がするけど、プラグなんて何でも同じじゃないの?
ノイトリックのプラグは、鋼性、ケーブルの強いホールド性、グランドショートしないような構造設計が施されているんだ。
なぜモガミ2534やモガミ2549、ノイトリックをすすめるのか?
この話を進める前に、まずレビューに使った音源・機材はコレ↓です。
ギター:1979年製GRECO SV800(ナット:グラフテック、サドル:KTSチタン、ブリッジ:ゴトー、PU:セイモアダンカンSH1b&SH2n、ポット:フェルナンデス、キャパシタ:ジュピターレッド)
アンプシミュレーター:ズームG3 (zoom G3はクリックした画面の右下に中古がたくさん出ています。)
それでは、先にモガミの2534から話を進めましょう。
サウンドハウス/MOGAMI ( モガミ ) / 2534-1m Black2534は、ツイストペアケーブル構造で、ホット(+)が2本、コールド(-)が2本、これを包むようにシールド網が施されています。
ボーカルマイク用に開発されたそうで、そのためか適用周波数の帯域が広く、特定の周波数を強く拾うことなくフラットな伝え方をするので、プロのPAに定評があるそうです。
私の印象では、このあとでも触れますが、2549と比較すると確かにフラットな感じで安定感を感じます。
第一印象、ノイズ耐性が高く、音がクリア。
ホットとコールドがそれぞれ2本ずつある構造なので、断線に対しての緊急対応性が高い。
つまり、バックアップ回線が常時あることになり、断線の危険がある長い延長であってもとりあえず安心です。
次に モガミ2549は、内芯のホットとコールドが2534より太めのシングルです。
サウンドハウス/MOGAMI ( モガミ ) / 2549-1m Black元々はマイクロフォン用に開発されていますが、その癖のなさが ギター・ベースにも適しています。
芯線の断面積が比較的広いということは、抵抗値が抑えられていているはずなので、使い始めの頃は「太めの音かな?」と思いながら音出ししたのを覚えています。
結果は、芯のある透明度の高いクリアサウンドを伝えてきました。
よくよく考えると、2534の内線2本を合計すると、いくら2549が太めだといっても断面積合計では2534の方が少し大きいですよね。
メーカー説明では、2549はハイも良く通すという趣旨で説明しています。
ただし、シングルなので断線したらおしまい…。
短い距離用に使った方が良いと思います。
これらのケーブルの長さについては、後でも触れます。
シールドケーブルをどのように選んでいるのか?
「楽器演奏は、楽器の質と演奏技術が全てだから、ケーブルはどうでもよい。」
と言う人がいます。
確かに優先順から言えばそうかもしれません。
シールドケーブルについて、あまり考えたことがないタイプの人は、「好きなミュージシャンが使っていたから。」とか、「宣伝で良い音がすると言っていたから。」という理由で使用している人が多いと思います。
シールドケーブルは本来とても大事なもので、これが駄目だと折角良い音がするギター・ベースを持っていても発揮しきれないということに繋がります。
大事なのは「自分の楽器の原音をちゃんと伝えてくれているのだろうか?」という疑問を持つことですね。
「このシールドが良いと聞いているから使っている。良い気がする。」
俗に人は自ら買ったものを否定的には考えないものです。
だから、これで良いのだと思ってしまう。
その人を批判しているわけではありません。
人はそういう風になりがちだと思うわけです。
私もそうだったから…。
またある人は、たくさんの製品を全部は比較できないので、(商業的に)薦められている物を使っている。
そういう人も多いと思います。
シールドケーブルは、良い音を人に伝えるための手段ですから、その選定には「自分の理想の音または原音をケーブルが伝えてくれるための条件」を自らが定義していることが必要です。
例えば、「ノイズを拾いにくいこと」「ケーブルが硬くて使いにくくないか」「原音に忠実であること」等々。
そもそも自分のギター・ベースの「原音」をどう考えるかが課題になります。
一般的には、アンプに直につないで、トーンを「5」にした状態という人がいます。
メーカーによっては、トーンがフルテンの状態が原音になっているという人もいます。
いずれにしても、プリアンプ部のトーン回路を通過していますので、アンプ独特の味付けはされてしまいます。
それでは、原音はどこにあるのか?ということになります…。
様々な考え方があるとは思いますが、ここでは、スタックタイプのようにトーン部のプリアンプとセンド・リターンでパワーアンプを接続しているものであれば、パワーアンプのみを使用した時の音を原音と仮定して話を進めます。
私の場合は、アンプシミュレーターのZOOMのG3を持っていますので、設定モジュールをすべてオフにした状態でパワーアンプのみの状態を再現して検証しています。
シールドケーブルの決め手は原音忠実性とノイズレス
ここまで検討してきた内容を整理すると、
「シールドケーブルに求めること」
⇒ノイズレス
⇒シールドケーブルの影響が原音に及ばないこと(原音忠実性)
ということになります。つまり、音作りはエフェクターとアンプで行うので、シールドケーブルによる音質への影響をできるだけ排除するということを目標にする必要があると思います。
このようにしておかないと、音の改善の必要性が生じた場合に、どこを修正すべきかのターゲットが混在してしまうので、あらかじめ区別しておく必要があるからです。
なぜモガミのシールドケーブルを好むのか?
私の場合は、モガミの2534と2549を好んで使っていますが、実はこの二つは聴覚上、体感できるレベルでの違いは、すぐには感じません。
なぜなら、両方ともに原音の伝導性能が高いからです。
その他のメーカーのシールドケーブルを全部でありませんが、使ってみましたが、モガミが最も音質がクリアだったのです。
これは体感できるレベルでした。
2534と2549のどちらが良いのか?
2534と2549は、レベル的にすぐに体感できる違いはないものの、構造が違うので音もどこか違うはずです。
そこで、休日に1日かけて原音状態で2534と2549を繰り返しつなぎなおして比較したのですが微かに2549の方がギターの音が元気だった…。
あれ?2549にもmicrophoneって書いてありますね…。
マイクロフォン用として 世界的に有名になったのは 2534なんですけどね…。
話が長くなるので、まぁいいか…。
さて、聴覚上は2534より2549の方が微かに倍音の通りが良い感じがします。
ほんとにそうなのでしょうか?
そこで、客観性を持たせるために、逆に「2534の方が2549よりも倍音を通す。」という逆説をあえて立てて比較してみました。
こうして試してみると、「あれ?2549の方が倍音が聴こえるけど?」という疑念が湧いてきます。
つまり、これが結論なので、宣伝や思い込みではなく、自分が求める音に応じて正しく使い分けるという選択肢を自分で広げるわけです。
例えば、ギターなら元気な2549、ベースなら帯域バランスが良い2534ということが 自ら試した結果で言えるのではないでしょうか?
シールドケーブルはキャパシタと同じ
このタイトルは少し大げさな表現かもしれませんが、まじめな話です。
シールドケーブルには弱くても電流が流れている以上、蓄電を繰り返すのでケーブルが長くなるほどキャパシタ性は高まり、蓄電容量も多くなります。
つまり、音がこもる方向に向かいます。
これによる音に違いは、聴覚上、オーディエンスにはわからないのですが、演奏者にはハッキリわかりますね。
このため、私の場合はルールを決めていて、シールドケーブルのDIY作成の注文を受けたときに、楽器からはエフェクターまでは3mを基準にしています。
アトリエZのベースのようにバルトリーニのプリアンプ内蔵の場合は、ローインピーダンスにΩ値が近づいていて、ノイズ耐性があるし、増幅もしているので、3m基準の例外ではないか?という意見もあるでしょう。
また、ベースの場合は、82hzより低い周波数帯域で稼働しているのだから、シ-ルドケーブルのキャパシタ性に、さほどナーバスにならなくてもよいもではないか?という意見もあるでしょう。
しかし、ベース音の周波数帯域はバンドの中では常時表面に出る帯域ではないがゆえに、シールドケーブルのキャパシタ性がベース音に与える影響は大きな障害になりうると私は考えています。
これまでの考察により、
① ベースもギターも楽器からエフェクター群までは、モガミ2549で3m。
② エフェクター群からアンプ群まではモガミ2534で5m。
を提唱しています。
もちろん、ステージパフォーマンス上、例外がやむを得ない場合の方が多いんですけどね…。
その他、記事に載せておきたいこととして、
●キャパシタ交換に熱心な人がいますが、個人的な考えではシールドケーブルのキャパシタ性の方が聴覚的に音に与える影響は大きいと考えています。
●モガミとノイトリックの組み合わせの既製品は、一般の販売ルートには 出ていないようなので、私はDIYで作成しています。
簡単なので皆さんにオススメしています。
プラグとシールドケーブルの接続方法
最後に、プラグの選定をどうするか?について少し触れておきます。
私のおすすめはノイトリックです。
なぜかというと、
① シールドケーブルの抜けに強い構造
② シールド部とホット部の位置が離れているので、セミバランス結線にはベストな構造
~であるからです。
また、筐体部品の色を変えられるので、誤配線のミスが起きにくいように工夫しているのも他にはなかった設計だからです。
プラグは、標準プラグの場合とキャノンコネクター(XLR)の場合がありますが、工程中にある、はんだ溶接はピカピカツルツルに溶解するまでコテを離してはいけません。
これを守れば、シールドケーブルの線材への はんだ浸透 がされて、のちの断線を防ぐためには大事なことだからです。
まず、XLRへの線材接続を紹介します。
XLRは「ノイトリックコネクター」とも呼ばれているそうで、私は最近このことを知りました。
XLRはオスとメスが合わさったときに端子番号が合うようになっています。
誤配線防止です。
過去には1番端子でも2番端子でも電流の流れがクロスしていなければ、どちらでもよいことになるのですが、接続機器との関係もあるので、2番端子がホット(+)に統一されました。
NEUTRIK ノイトリック XLRメスコネクター NC3FXX-EMC
NEUTRIK ノイトリック XLRオスコネクター NC3MXX-HE
サウンドハウス/NEUTRIK/NC3FXX サウンドハウス/NEUTRIK/NC3MXXモガミの2534を結線する場合は、青い2本の線を束ねて仮はんだし、これをホット(+)とします。
これを2番端子にはんだ溶接。
(はんだ溶接の詳しい記事については、別ページも参考にしてください。)
白い2本線も同様の手順でコールド(-)として1番端子にはんだ溶接。
シールド網(アース)は細く束ねて仮はんだしてから、3番端子にはんだ溶接。
長さが均等になるようにしないと、特定の端子に荷重がかかって断線の原因になるので、それを念頭に作業をしてください。
標準プラグは画像の通りですので、説明は省略します。
まとめ
シールドケーブルは、良い音を人に伝えるための手段だから、その選定には「自分の理想の音または原音をケーブルが伝えてくれるための条件」を自らが定義していることが必要
シールドケーブルの決め手は原音忠実性とノイズレス
シールドケーブルはキャパシタと同じ
シールドケーブルを交換してみたら、こもりの違いがわかりました!
今まで気にしていなかったなぁ~。
ツールを選ぶときは、自分で条件を明確にすることが大事だね。
コマーシャルだけで判断しないことが上達への早道だよ!